ひょっこりひょうたんの日誌

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冬の喝采 中村監督の 生きざまに触れる

「冬の喝采」黒木亮著を読み終えた。箱根駅伝が終わった頃にインターネット検索で本書のあることを知り、amazonに注文して届いたのは1月下旬であった。それから、ベッドに入ってからの寝る前のひと時を過ごすのに少しづつ読んでいた。
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内容は自伝的なランニング小説だ。北海道生まれの金山雅之(筆者の本名で小説の主人公)は中学時代から陸上長距離が大好きだった。中、高校と地元の学校の陸上部に所属していたが、肝心なインターハイの前には、脚の故障で満足の行く陸上生活は送れなかった。大学は早稲田に進学したが、大学1年間は故障上がりのために趣味程度のランニングしかしてなかった。でも、1年間の休養が脚の回復を生み出し、2年生からは早稲田大学競走部に籍を置くことになった。入部を許可されたのだ。

当時の早稲田大競走部は中村清監督の時代であった。同級生には瀬古利彦選手がいた。もちろん、金山にとっては雲上人であった。黒木(金山のペンネーム)の筆は、陸上競技のストイックさ、奥深さ、過酷さ……を選手だけが分かる視点で書き続ける。黒木は中学時代からの練習日記8冊を大切に保管していた。その積み重ねがあるから、日々のインターバル練習、ロードレース等が克明に記述するとともに、木々の色、風の匂い、土の香りが黒木の脳裏から再現されていく。ある意味では自伝書である。

でも自伝書と違うのは、監督(中村清)、マラソンランナー(瀬古利彦)が出てくることだ。

特に監督(中村清)の人間描写の迫力には一気にページをめくってしまう。自己陶酔型の性格、選手には人生をかけるほどの情熱を求める。練習の前の人生講話は1時間や2時間にも及ぶことがある。監督への忠誠心を求め、周りの人間全てへの感謝の気持ちを強く主張する。そのことへの反発する選手も多い。金山もその一人だった。理不尽な要求にも反抗することもできない。でも、それを上回るほどの人間としての奥の深さもあり、人をひきつける。

ボクがそんな環境であったら、とてもついていけない。大学3年の時は瀬古からタスキを受けて箱根駅伝を走り、4年生でも走った金山……一般入試での箱根駅伝選手は珍しかったのだ。そして、中村監督との確執や陸上選手としての逃げられない故障との戦いが克明に描かれている。そんな生活を逃げ出せばいいのに……と思うかもしれない。でも、そのストイックな生活は、感性を磨き続ける。だからその葛藤は心地よいものだろう。

ボクも市民ランナーレベルでしかなく、学生時代に陸上に打ち込むほどの実力はなかった。でも、「もしも……」の話であるが、その実力があってもこの筆者、黒木(本名は金山)さんみたいな精神力はなかったであろう。実力がなく市民ランナーで生きてきたから、今のボクがあるのだろう。
by hyocori-hyoutan | 2009-02-15 22:37 | 読書

マラソン雑学は一流、記録は二流、そしてランニングフォームは自己流の三流、しかし、マラソンと人生を結びつける哲学は特級です。飲む時は年を忘れて、酒なら何でも来い!飲んだ分だけ走らゃいいと思っています。


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