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マラソン名言37 1987年ランナーズDiaryより

きちんとしたコースと正確な時計と要を得た給水と主催者のあたたかい心配りさえあれば、それはもうそれだけで立派なレースなのだから。  (村上春樹)

村上春樹の「走ることについて語るときに僕の語ること」の本を昨日読み終わった。売れっ子小説家であって、走り続けることを小説を書き続けるみたいにずっと続けている……。その感性は、とても身近に感じることが出来た。小説は自分の頭の中で組み立てて行く作業も多いであろう。走ることも、目標の大会を決めた時から組み立てていく。共通項があるみたいだ。

その文体は、状況描写力がすごい。ただ美しいと思うだけでなく、何故美しいのか……風の色、季節の風、自然の中に溶け込んでいく自分を的確に描いていく。複雑な己の感情を淡々とした無機的な描写をすることで、イメージが膨らんでいく。文章表現とは、こういうことを示すものかと再認識させられた。

そして、自分は小説家としての才能はないという。だから常に神経を研ぎ澄まし新しい刺激を求めていかなない。だから、走ることは小説を書く体力を確保するとともに、自分を新しい刺激の世界においておくには必要だという。ボクも小説家ではないが、何となく分かる気がする。

毎年、冬場のフルマラソンと夏場のトライアスロンに参加することで、生活のリズムを取っているのは、ランナー的な考えである。巻頭のマラソン名言も、シンプルで分かりやすい。最低限のマラソンを走る環境さえ整えてくれたらそれでいい。その中でどう感じ、どう演じるかは参加した自分自身の問題なのだから……。
by hyocori-hyoutan | 2007-11-26 21:40 | マラソン名言