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出水ツル 最後の1秒まで 快感の走り

朝一番に風呂に入ってじっくり体を温める。昨年と比べて体調はいい感じだ。湯冷めもしないように細心の注意を払う。朝食は軽く丼一杯に抑えておく。大会会場には、朝7時40分に到着する。フルマラソン参加者1000人程度の大会だから駐車場も余裕を持って泊めることが出来る。トイレも文化センター等が併設されているから、十分キャパシティがある。いよいよ出発の時が来た。午前9時に号砲がなる。
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【0-5km:25分51秒】号砲がなり、スタート地点までは17秒かかる。でも何らトラブルもなく平穏なスタートである。流れに身を任せたままに走り始める。とりあえず出水市陸上競技場周辺を周回する最初の6kmは自重して走ることにする。たまたま前方には、地元の学校先生と思われる3人グループ(結構走り込んでいそう……)がいたので、その後方について省エネ走法に徹する。

【5-10km:25分27秒】この5kmも流れにあわせる。ちょっと上り加減であるが、ほとんどピッチは変らずに快調に脚を進めていく。7.5km地点の商店街には一箇所目の給水所があった。アクエリアス、ウーロン茶、ホット茶、水が置いてある。ボクは早めに給水をしていく。きちんと立ち止まりコップを飲み干して走る。飲む飲料はアクエリアスである。

【10-15km:26分34秒】この区間の走りは、このツルマラソンのポイントの一つである。高低差70mはあるし2度の峠越えがある。無理せずにペースダウンを最小限に抑える走りが要求される。昨年はこの区間で50人ほど抜かれ5-10km区間と比べて2分半ペースダウンしたが、今年は1分少々のペースダウンに抑えることができた。上手い具合に集団の流れに乗っている。いい調子だ。でも無理はしていない。

【15-20km:24分41秒】この区間は90mの高低差を駆け降りる。無茶しちゃいけない区間だ。でも無駄なブレーキはかけたくない。その按配が難しい。15-16kmの1kmは4分45秒で通過した、それは速過ぎる。ちょっと意識的にペースを落とす。でも、周りのランナーは皆速いので、判断が難しい。
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【20-25km:25分36秒】下り終えた20-25km区間は路面もジャリ道もあり、ペースを乱し易い区間だ。中間点は1時間47分50秒で通過した。この地点までくれば周りのランナーともしゃべらないものの一体感が生まれてくる。そして、「脚力の残り」と「残りの距離」を天秤にかけてみると、青島太平洋マラソン並の記録が予想されてくる。

【25-30km:26分28秒】唯一の折り返しがある区間である。微妙にアップダウン、向かい風の強い区間である。やはり1分程度のペースダウンだ。でも頑張らない。まだ先が長い。折り返し地点で自分の前後のランナーを確認していく。オクさんは確認できなかったが、元気に走っている事を祈って走り続ける。
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【30-35km:26分26秒】折り返すと風向きが変って追い風となる。自然の風だけでなく、ボクの体の中にも「ゴール」に向けて風が吹き始めた。息を吹き返してくる。残りの力を少しづつ搾り出していく。体にも力が入って来る。そんな時は意識的に力を抜くが、スピードは変らない。やはりリラックスすることの大切さを痛感する。再び国道の下の砂利道を走るが、まだリズム感は維持している。そして、35km地点の通過タイムを見て、ゴールの予想タイムを確信する。

「今のペースのまま、㌔5分20秒を維持していけば3時間40分切りだ!」

【35-40km:27分22秒】これから先は、1km毎の路面表示との戦いが始まった。36km地点5分30秒で通過、37km地点も同じ5分30秒で通過……。あと10秒のペースアップが出来ない。給水所があっても給水せずに走る。一度の給水で立ち止まれば7~8秒のタイムロスが生じる。もう、その7~8秒のロスが許されない状況になってきたのだ。周りのランナーも必死に走り続ける。皆3時間40分切りを目指している。でも、今のままでは、あと1分は及ばない。

【40-42.195km:11分14秒】40km通過、3時間28分50秒(グロス)……。もう本当に追い詰められた。今のペース㌔5分半を5分まで引き上げないと、目標の40分切りは達成できない。一か八か、ペースを上げる。青島のラストを思い出しながら走る。とりあえず41kmまで行こう。41kmまで頑張ればあとはどうにかなる。41km地点通過、残りは6分だ。㌔5分でどうにかクリアーだ。目標達成可能な限界値までペースを上げて走っている。元気が出てくる。周りのランナーを2,3人抜いていく。陸上競技場が見えてくる。道路周りの応援者からも声が飛ぶ。

「40分切れるぞ!」
「ありがとう、頑張ります!」と応えてピッチを緩めず。大きく左にカーブを切って陸上競技場のトラックの中に入る。あと70mほどでゴールだ。その横に電光掲示板もあった。示しているタイムは「3時間39分40秒」だ。

「ヤバイ!」 心で叫ぶ。その瞬間にピッチが短距離競争になる。猛然とスパートする。帽子を取って歯を食いしばり、痛めつけてきた脚とは思えない空を飛ぶようなバネでゴールに突き進む。ゴールの瞬間に電光掲示板は40分を表示したような気がする。微妙なタイムで駆け込んだ。

でも、これだけ頑張ったから、心は晴れ晴れとしたもの。40分切れたか、切れなかったなんてどうでも良くなった。あとは、車まで行ってすぐに着替えを済ませて、オクさんのゴールを待つ。しばらくすると疲労困憊しているが、スタートした時と同じ笑顔のオクさんが戻って来た。これで、ボクもホット一息だ。

やっと、ゴール横の記録証発行コーナーに行く。タイムはグロス表示で3時間39分59秒であった。それを見てまた笑顔である。また一つ、マラソンの奥の深さを教えられた。前半の1分、1秒はどうでもいいが、最後の1分、1秒の大切にすることがマラソンの楽しさだ。

最後の1分、1秒を大切に感じるのは、最後まで理性を失わず計算できる走るが出来た証だからである。こんな走りが出来たのは久しぶりである。快感……。
by hyocori-hyoutan | 2009-02-09 22:18 | ランニング大会奮闘記