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下駄を鳴らして奴が来る ボクの青春 今思い出す(2)

熊本についての知識もなにもなく熊本での生活が始まった。住んだところは白川に架かる小蹟橋のそばにある熊本大学学生寮であった。昭和40年代でも相当古い建物だった。戦前の学校舎を寮として活用したものだった。ボクの部屋は12畳くらいの和室の部屋で3人部屋だった。そこからは、大学まで自転車で10分程度であった。毎日自転車で大学の授業に出ていた。

もちろん、大学に入ったすぐには、授業のあまりなく暇な時期であった。大学生協の食堂に行き一人で昼食を食べていた。定食は80円、ビン牛乳18円だったことを覚えている。食事を終えて食堂を出るとクラブ活動勧誘が先輩たちで繰り広げられていた。ボクは中学校は部活なし、高校も写真部に1年ほど入ったいた程度でほとんど部活経験なし。スポーツは苦手だし、大学入学しても特に心を動かせるクラブはなかった。でも親元を離れて自由な時間も一杯だし何か自分で打ち込めるクラブ活動が欲しかった。

ブラブラとしていたら、学生服を着た先輩から声をかけられ、勧誘デスクの前の椅子に座ってしまった。
「どこかクラブには行ったか?」
「いいえ、入っていません。」
「応援団に入らないか。女の子にもてるよ。体を鍛えたいと思わないか?」
「はい、体は鍛えたいと思います。」
「得意なスポーツはあるのか?」
「いいえ、ありません。」
「じゃ、応援団がいいぞ。体は鍛えられる。入団誓約書を書けよ。」
「え?、誓約書ですか?」
「とりあえず書いて。明日に武夫原で新入生歓迎の演武をするから出て来いよ。」
「はい、わかりました」

というような調子で、誓約書にとりあえず署名してその場を去る。

まあ、いいや…。出て行かなければいいのだから。そんな調子の軽~い気持ちだった。しかし、応援団の先輩はすごかった。その晩から学生寮に部屋に2年生の先輩が二人やってきた。大学生活のイロハ、同じ学部なので大学講義の傾向等を、持ってきた酒を片手にいろいろと教えてくれた。寮の同室の先輩は全くの面倒見がなかったので、心細い新入生にとっては心強い先輩になってしまった。

人情につられて翌日の新入生歓迎演武を見学した。そして、その足で応援団部室にも脚を踏み入れた。ボクの大学生活は授業を受ける教室よりも先に、応援団部室から始まった。
by hyocori-hyoutan | 2010-03-09 23:23