下駄を鳴らして奴が来る ボクの青春 今思い出す(4)
2010年 03月 20日「さあ、行くぞ!」のリーダーの掛け声で立田山を目指して走り始める。リーダーは「エイサー」、一、二回生は「ホイサー」の掛け声をかける。走るリズムと掛け声をあわせる。「エイサー、ホイサー、エイサー、ホイサー、……」と元気のある間は声を出していく。ただ、キツクなると声が出なくなる。そんな時は、リーダー長の声が飛ぶ。
「エイサー、声を出さんか!!」
「……」
「エイサー、もっと声を出さんか!
「ホイサー…!」
立田山の中腹まで、10分程度だった。距離にしたら1km~1.2kmくらいのものだ。でもそれがきつかった。必ず急坂で遅れ始める一番手はボクだった。走るのは苦手だった。いや腹筋も腕立て伏せも、サーキットトレーニングも全部苦手だった。中腹に着くと、金峰山を見渡せる崖の端に5mくらいの間隔をあけて横一列に並ぶ。
「押忍イチ!」…一人ひとりが腕を斜め前、腰を曲げ背は曲げずに前傾して、大声で順に「押忍」を繰り返していく。
「押忍ニ!」…ボク「押忍」、全員「押忍」、ボクの隣「押忍」、全員「押忍」を繰り返していく。
次は「お手手振り振り」だ。応援団練習の根幹をなすもの。腕を伸ばし前と横、横と上、手を叩いて横に広げる。ついでのおまけは、四股立ちして同様な動作を繰り返す。延々と30分の「お手手振り振り」である。応援団特有の練習だ。終わる間もなく、立田山中腹裏にある階段に集合である。ここで200段はあるであろう階段を延々と駆け上がり駆け下りる。そして腹筋、腕立て、ウサギ飛び、亀歩き、おんぶ…などなどの基礎体力作りをする。
終わると、再び武夫原に向かって急坂を駆け下りる。きつい練習ももう終わると思うと、足取りも軽く声も良く出る。整理体操をしてさあ終了だ。最後は全員集合し正座をして黙祷だ。暑い日も寒い日も最後の黙祷は同じだ。やっと解散だ。部室に戻るともう夜の7時過ぎている。
急いで自転車で部屋に戻る。もうあとは風呂と夕食をすればくたびれて寝るだけだ。「ボクの描いた青春ってこんなものじゃなかったのに…」という後悔の気持ちで一杯になっていた。何とかこの生活から抜け出したい…それが大学一年の間中続いていく。
by hyocori-hyoutan
| 2010-03-20 21:10