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下駄を鳴らして奴が来る ボクの青春 今思い出す(20)

遠歩が終わると演武会に向けての練習が始まった。通常の練習は午後5時から7時くらいであったが、演武会前の練習は2部制になった。通常の夜7時までの練習は同じだが、その後は武夫原の一角にある体育館に移動する。その2階にある小体育室で演武練習をする。何故か上靴は誰も履いていない。裸足で冷たいフロアーの上で演武練習をする。何度も同じ練習が繰り返される。

歌ものよりも拍手ものがキツイ。じっと四股立ちのままだ。脚が痙攣をするみたいまで頑張る。声も張り上げる。リーダーの動作に集中だ。一時も目を離さない。本当に真剣勝負である。一回生は前列に二回生がいるから少し楽だが、二回生も必死である。

小体育室の外では、旗手が1時間以上も旗を持ったままである。集中力を高め持久力を高める。鼓手もも必死である。汗を拭う暇もなくじっとリーダーを見つめたままだ。それほど集中力を高めても何でこんなキツイ練習をするのか疑問にもつ瞬間もあった。全員がスポーツ刈を義務付けられた。でもボクはそんなことに逆らってスポーツ刈を拒否した。幹部が説得をしたがボクは従わなかった。反発することで弱い自分を正当化するみたいであった。

そして演武会当日を迎えた。場所は熊本市民会館大ホールだ。期日は昭和46年(1971年)12月10日だった。緞帳の後ろに一回生、二回生の16人が二列に整列している。OBになっている初代団長もはるばる挨拶のために駆けつけてくれた。「この後ろには厳しい練習の耐えてきた若者がいる。心意気を感じてほしい…」そのような挨拶があった。後ろで一心不乱に立っていたボクは感激を覚えた。ともかく頑張るのだ。
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緞帳が上がっていく。演武会が始まる…。「易水流れ寒うして…」最初の演武が始まる。会場を見渡せば、体育会サークルのみんなが応援に駆けつけてくれていた。ほぼ満員だ。厳しい練習に耐えて練習をしてきたのだから、何度も同じ演武を練習してきたから間違うわけにはいかない。気合が入っていた。でも何回も練習した体には、本番の一回限りはあっけないものだった。あっという間の一部、二部であった。精一杯の力を出し切った。
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そのあとは、即、打ち上げ会だった。太鼓や校旗などを部室に運んで打ち上げだった。新入生歓迎コンパと同じように飲み干した。違うのは分からずに飲んだか、達成感、感激に満ちて飲んだかの違いであった。当時としては、一年前の受験勉強に明け暮れていた時とは違う、見返りを期待しない充実感、達成感に満ちて喜びの酔いであった。
by hyocori-hyoutan | 2010-04-18 22:18